録画しておいたEテレのTV番組「日本人はどこへ行くのか~知の巨人達」を
三つ続けて観る。チカレタァー。
一本目は湯川秀樹。二本目は丸山真男。三本目は司馬遼太郎。
湯川秀樹博士の篇は、主にノーベル賞受賞後の原発開発に利用?される湯川
博士の苦悩と反核の姿勢を描いている。
原子力委員会メンバーとして、正力松太郎や中曽根康弘達に孤軍奮闘してい
る様子は、博士のことを、これまで単に核を積極的に利用すべしつー考えの
持ち主であると誤解していた私には耳からカサブタの驚きであった。
私は、湯川博士のアインシュタインなどとの共同平和アピールなんぞは、偽
善のパフォーマンスだとかねがね思っていたのであった。
二本目の丸山真男。
(私は右でも左でもないのだが)、保守思想家の福田恒存や西部進などが著
作や発言で、やたら丸山真男を揶揄嘲笑するのを随分見てきたせいか、彼の
著作物にほとんど触れてもいないのにこの人物は、よくいるアホのいわゆる
左翼的文化人の一人に過ぎぬとずっと思っていた。
でもない・・・。
姜ちゃんが尊敬する知識人であるのも頷ける・・・。
三本目は作家の司馬遼太郎。
私はこの人の著作物は五、六冊読んだことがあるが、つまらんつー印象しか
ない。
(NHK大河ドラマの「竜馬がゆく」もつまらないものだった。)
近年の竜馬ブームには私はウンザリしていた。
が、戦時中の若い頃に学徒動員で戦車部隊に入れられた際の入営体験や彼の
思索歴
のことを初めて知って少し軽はずみで表面的な評価だったのかとも反省・・。
彼の体験 - 本土防衛の為、栃木県の基地に配属された際、上官に質問し
た。
「東京に敵が上陸すれば国民は北関東に大挙して避難すると想定されますが、
その際我が戦車部隊の南下の障害となるのでは?」上官「国家の為、そんな
ものは踏み潰して進軍せよ。」
この答え、国民を守る為の軍人が、国民、それも弱者の女子供を邪魔だか
ら殺せ、つーのに疑問を感じた若き司馬は、こうゆう軍人を生み出した日本
の近代そのものに疑問を抱く。
沖縄戦の際、日本の軍人のふるまいを間近で見た大田昌秀が、日本国家およ
び日本人について認識を改めたことと似ている。
ガダルカナルやノモンハン、沖縄の戦いでの日本軍の作戦を含めた愚劣さや
非人間性に司馬は絶望する。十年も取材したノモンハン事件のことを、その
あまりの無残さに小説を書けず、「我々の仕事は空しい」とさえ。
そして民俗学者宮本常一にならって日本中、世界中を歩き、その土地に生き
る住民の生き方に救われるのである。(といってよかろう・・。)
・・・・・・
私は、いわゆる知識人とか文化人の類を批判する際には、なるべくあらかじ
めその人物の著作物を読むように心掛けてはいるのだが、上記の三人は、
半知半解どころか、その片鱗さえも知らなかったと今回大いに反省した次第。
次回は一月の十日、「吉本隆明」が放送される。是非観なっくっちゃあ・・。
都会の一人暮らしでは、お盆休みは単なる夏の休み。正月休みは単なる冬の
休みにしかすぎないのだが、こうしたTV番組を観られると、「エエ正月休み
じゃったわい。」つーことになる。
クリスマスの頃から、岩波の「座談会・明治大正文学史」全六巻も読み始め
てこれも頗る面白い。知識欲なんてやっぱし年齢は関係せぬようだ。チンポ
コは立たなくなって久しいのに不思議なものよ。
じゃあ皆の衆、
エエお年寄りに !!