「 あふれよ、 わが涙 」
作曲:ジョン・ダウランド
演奏:ジョルディ・サバール・ヘスペリオン20
http://jp.youtube.com/watch?v=LCfhqh0u20c
私が十代の頃、始まったばかりのFM放送で、毎朝
「バロック音楽の楽しみ」 という番組があった。
案内人は、皆川達夫さんと服部幸三という、バロック
音楽の研究家で、今にして思えばこんな番組を、当時
の田舎で聴けたのは、ほんとうに幸せなことだった。
本といえば「家の光」、音楽といえば「古賀メロディ」より
なかった田舎で、グレゴリオ聖歌やルネッサンス音楽が
毎朝のように流れていたのである・・・。
当時、まだ私の田舎では、村人はチョンマゲに褌すがた。
私も金太郎の腹巻ひとつで走り回っていた・・・。
楽しみといえば、市川歌右衛門や嵐寛十郎や大川橋蔵、
板妻や高田幸吉などの時代劇の映画の公民館での上映会。
その田舎に、突如バロック音楽の響きである・・・。!!!
村人は、当初、その聴きなれない南蛮の調べに怖れおののき、
ある人は、その時間、蔵に閉じこもり、ある人は耳にコンニャク
で耳栓をしたものであった・・・。
だがその中にあって、かしこい私だけは、唯一、臆することなく
毎朝、ラジオの前に正座をして(ホントはあぐら)、神妙に聴いて
いたものであった・・・。
バラックに響くバロック音楽のたえなる音楽・・・。
この体験が、私の精神の形成に大きく作用したことは、間違いない。
さよう、時折くずれ落ちそうになる私の気持ちが、あるところで、
ガッチリと踏ん張れるのは、この頃聴いたバラック、もといバロ
ック音楽のお陰である・・・。
そして、私は、クラシック音楽には全くうといが、それでもバロック
音楽とロックの一字違いの音楽を、今でも聴き分けることができるのじゃ。
2/11の追記 (これも、ヤケクソでアップ)