朗読といえば、私はすぐに、幸田弘子さんの「モーパッサン
短編集」と「たけくらべ(樋口一葉)」を想い出す・・・。
FM放送が始まった頃には、ほとんどの時間帯がクラシック
音楽で埋め尽くされていた。
(その中にあって、わずかに邦楽の時間と、朗読の時間が
一日に一度だけ割り振られていた・・・。歌謡曲を含めた
日本の音楽の番組の方が多くなった最近のFM放送しか
知らない若者には、信じられないことかも・・・。)
夏休みの間じゅう、私は午前10時40分からの20分間は、
朗読を聴いた。
社会人になってから、モーパッサンをあらためて読んだが、
小説の内容が、映画を見る如く、ありありと想像されたのは、
まさに幸田弘子さんの朗読によるイメージの記憶の効果だった・・・。
半文語体調の樋口一葉の小説も朗読でなければ、皆目中身
がわからなかっただろう。(中世の古典の方がより難しくて、
近代の樋口一葉のはそーではない、つー意見には私は反対。
「平家物語」や「今昔物語」の古文の内容を理解する方が、
樋口一葉の言葉を理解するよりもまだ、何とか・・、つー気がする。
昔は、琵琶法師が口語りで、市井の民に伝えた、つーことも
あったろう。
(それは、朗読を聴けばたちどころにわかる。)
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俳優はおしなべて朗読が上手であるが、やはりその世界に
入り込んで、イメージを喚起することに長けているからだろう。
私は、幸田弘子さんに文化勲章をあげたいと思う・・・。
真夜中の一曲
「 セレナーデ 」 (映像はフィンランド)
http://www.youtube.com/watch?v=JtA9Js-22ko
GN